貴重な天然塗料、「漆」をつかいます
樹齢10年の木1本から採れる漆はマグカップ1個程度
6月上旬~11月に掻子(かきこ)と呼ばれる職人さんが樹液を採取し、精製し、生漆(きうるし)が出来上がります。樹齢10年の木1本から採れる漆はなんとマグカップ1個程度のとても貴重な塗料です。1桶で数十万円以上します!
漆は、「うるわし(麗し)」や「うるむ(潤む)」が語源と云われていて、美しくみずみずしい艶が特徴です。空気に触れると酸化反応を起こし、硬化して強固な表面を形成する特殊な性質を持っています。
能登半島で採れる珪藻土を蒸し焼きにし、粉砕した「地の粉(ぢのこ)」は、ガラス質でできていて非常に堅く、漆を混ぜて塗ることでさらに強度が増し、断熱性にも優れています。今回のリボンにも「地の粉」が使われています。
石川県木、輪島市木の「能登ヒバ」をつかいます。能登ヒバ(アテの木、あすなろ)は、ヒノキアスナロの地方名です。湿度の高い能登の気候/風土が適していて、材質はきめ細かで耐久性が高いため、輪島塗や建具などに使われています。
輪島塗職人の手仕事で数ミリずつ、彫っていきます。
生漆(きうるし)を塗り、布で拭き取り、木の導管を塞ぎます。
この工程を3回繰り返します。
サンドペーパーで角を滑らかにします。
生漆、地の粉、米のりで下地漆を作り、木地にヘラで塗ります。
水をつけた砥石で少しづつ研ぎ、表面を滑らかにします。30分以上かかる根気のいる工程です。
こし器で埃を取り除いた漆を刷毛で半面塗り、乾燥後、残りの半面を塗ります。
地研ぎと同じように水をつけながら、よりキメの細かい砥石を使い表面を研ぎます。
さらに水をつけながら砥石より柔らかく、キメの細かい炭で研ぎ、布で拭き取ります。
いよいよ最後の塗り。漆を丁寧に濾し、ゴミを取り除き、刷毛で塗ります。職人の経験を物語るあざやかな手さばきです。
これで「本塗り」仕上げの本体が完成。
削り出しから約2か月の道のりです。
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