貴重な天然塗料、「漆」をつかいます
樹齢10年の木1本から採れる漆はマグカップ1個程度
6月上旬~11月に掻子(かきこ)と呼ばれる職人さんが樹液を採取し、精製し、生漆(きうるし)が出来上がります。樹齢10年の木1本から採れる漆はなんとマグカップ1個程度のとても貴重な塗料です。1桶で数十万円以上します!
漆は、「うるわし(麗し)」や「うるむ(潤む)」が語源と云われていて、美しくみずみずしい艶が特徴です。空気に触れると酸化反応を起こし、硬化して強固な表面を形成する特殊な性質を持っています。
能登半島で採れる珪藻土を蒸し焼きにし、粉砕した「地の粉(ぢのこ)」は、ガラス質でできていて非常に堅く、漆を混ぜて塗ることでさらに強度が増し、断熱性にも優れています。今回のリボンにも「地の粉」が使われています。
その漆に、鉄粉を混ぜて酸化させたり、顔料を混ぜて色を作っていきます。絵の具のようにいろんな色を混ぜて作っていくのですが、漆は産地によっても品質によっても出てくる色が変わってくるので、職人さんがその時々の漆に合わせて顔料を調整して精製していきます。
漉し紙を使ってホコリやゴミを取り除いてから使用します。
今回のピアスの核となる部分は、なんと養殖真珠の元となる真珠核です。この核をアコヤ貝に植え付けて海中に沈めておくと真珠層が巻きついて、真珠が誕生します。その真珠の元となる真珠核に漆をまとわせ、真珠とはまた違う漆の艷やかな輝きの珠にして、ピアスにしました。
輪島塗の堅牢さを作り出している"地の粉(ぢのこ)"を上塗りする漆に混ぜて使用しています。混ぜることで、堅牢さのためだけではなく、表面に少し手仕事が感じられるように温かみのある仕上げにしています。
丁寧に漆を塗り重ねていきます。職人さんの手さばきに思わず見とれてしまいます。
ひとつずつ大切に乾燥させていきます。
塗りと乾燥を2回繰り返し、クリアコーティングし、最後にゆっくりと乾燥させていきます。
パーツを取り付けて完成!
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